「巨大戦艦ビスマルク」読了

「巨大戦艦ビスマルク」(ハヤカワ文庫)を読み終わった。著者のミュレンハイム=レヒベルクは、わずか5%の生存者の中で最高位の将校(四席砲術士官少佐)だった人物。淡々とした筆致から、ビスマルクの誕生、指揮官たちの人間像、出港から沈没までの「ラインユーブンク」作戦の経緯が浮かび上がってきて、読み応えのある戦記だった。特に、最後の海戦から沈没までの甲板上の光景は、その場に居合わせた者にしかなしえない描写で、凄惨の一語に尽きる。また、著者は、乗組員約2,200名の戦艦という大組織の中間管理職だったわけで、自分にとっても興味深い記述が多かった。上司であるリンデマン艦長に対する畏敬の念が随所に現れており、彼の最期の姿を記録に留めたのは、著者の使命感の現われだろう。
巨大戦艦ビスマルク―独・英艦隊、最後の大海戦 (ハヤカワ文庫NF)
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20040424
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